クロスメディアマーケティングが注目されるこれだけの理由

「クロスメディアマーケティングが注目されるこれだけの理由」のアイキャッチ画像

インターネットとソーシャルメディアの普及に伴い、様々なWeb広告が活用されるようになりました。反面、Web広告の種類が多いため広告主の広告媒体の選択が複雑化し、選択を誤ったが故に期待した効果が得られないケースもあると言われています。こうした状況下で注目されているのがクロスメディアマーケティングです。ここではクロスメディアマーケティングのメリット、成功するためのポイントなどを解説します。

クロスメディアマーケティングとは

クロスメディアマーケティングとは、複数のメディアを組み合わせた広告手法のこと。

クロスメディアマーケティングではテレビ、新聞・雑誌、DM、Webサイトなどを広告目的に合わせて適宜組み合わせて利用します。

従来の広告は単一メディアで終了していたので、他の媒体との連携はありませんでした。しかしクロスメディアマーケティングでは、他の媒体との連携で広告の相乗効果を発揮できるのが特徴です。

なおクロスメディアマーケティングに用いられる主な広告は、次の通りです。

  • Web広告……………………リスティング広告、バナー広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告など
  • マスメディア広告…………新聞・雑誌広告とテレビ・ラジオCM
  • アナログメディア広告……屋上看板広告、電柱広告、電光掲示板広告、交通広告など
  • ニッチメディア広告………フリーペーパー・ミニコミ誌の広告、新聞折込チラシ、ポスティング広告、会員情報誌の広告、店頭広告など

クロスメディアマーケティングが求められる理由

クロスメディアマーケティングが重要になってきた理由として、ユーザのメディア接触の変化が挙げられます。

例えばテレビの視聴時間は全体的に減少しており、特に20・30代の減少幅が大きくなっています。新聞・雑誌の発行部数も減少傾向を強めています。その一方で、ユーザのメディア接触機会が年々増加しているのがWebサイトやSNSのインターネットメディアです。

しかしながらマスメディア、アナログメディア、ニッチメディアに接触しているユーザも多数いることから、インターネットメディアのみでは圧倒的大多数のユーザに自社広告を発信するのは不可能な状況です。この問題解決手段として考え出されたのがクロスメディアマーケティングと言えます。

クロスメディアマーケティングなら圧倒的大多数のユーザに自社広告を発信できる上、今後起こり得るユーザのメディア接触変化にも対応が可能です。

クロスメディアマーケティングは企業にとって、今後ますます重要性が増す広告手法と言えるでしょう。

クロスメディアマーケティングのメリット

クロスメディアマーケティングの主なメリットとして次が挙げられます。

(1)マス広告に匹敵する集客

マスメディアの広告掲載枠には制約があります。例えば地上波テレビの場合、視聴率が高い夜のゴールデンタイムは僅か4時間しかないため、この時間帯に放映するCM数は限られています。

このためこの時間帯のCM放映権料は高額で、この放映権を購入できる企業は一部に限られます。しかしクロスメディアマーケティングならWebメディア広告とニッチメディア広告を組み合わせるなどで、マスメディア広告に匹敵する広告と集客が可能になります。

(2)購買意欲が高いユーザの集客

クロスメディアマーケティングでは、

テレビCMで商品の認知度を上げ――➡Web広告で商品情報を詳細に説明し――➡販促サイトに誘導し――➡問合せ、資料請求、購買などを獲得

の流れがほぼ通例です。

この流れの中で広告の相乗効果が醸成され、単一メディアで終了する広告より高い購買意欲が引き出されると言われています。

また複数メディアの連携により、商品の認知から購買までの一連の流れを広告主がコントロールできるので、購買意欲が高いユーザを集客しやすいのもメリットと言われています。

(3)幅広いユーザ層の集客

単一メディアだけでは、そのメディアのユーザ特性により伝達できる情報の内容や範囲が制約されます。しかし複数のメディアを利用すればこの制約から脱却できます。

例えばマスメディアとWebメディアを組み合わせれば、異なる年齢層・属性のユーザに適した広告を届けることができ、それだけ幅広いユーザ層の集客が可能になります。

(4)メディアごとのデメリット補完

メディアにはそれぞれのメリット・デメリットがあります。例えばテレビやラジオなどの電波メディアは、幅広いユーザ層に広告を届けられますが、時間が短いため商品の特徴やベネフィットを詳しく伝えることができません。またユーザ側に記録が残らないのですぐに忘れられる率も高くなっています。一方、新聞・雑誌の場合は文章・画像により詳しい商品説明ができますが、新聞・雑誌を読む特定のユーザにしか広告が届かないデメリットがあります。

しかしこの2つのメディアを組み合わせれば、前述の一連の流れを生み出すことができます。クロスメディアマーケティングでは、それぞれのメディア固有のデメリットをメリットで相殺することが可能です。

クロスメディアマーケティング成功のポイント

クロスメディアマーケティングに成功するには、踏まえるべき幾つかのポイントがあります。それは次のポイントです。

(1)ターゲットを明確化した上でコンバージョンに誘導するシナリオを作る

クロスメディアマーケティングでは、第一にターゲットの明確化とそれに適したシナリオ作りが重要になります。これがないと各メディアの役割や連携の流れを決められないからです。

例えば広告商品が、高額の耐久消費財なのか低額の一般消費財なのかにより、ターゲットが変わってきます。ターゲットを明確化したら、ターゲットの視点で消費行動を想定し、それに沿ったメディアの役割分担、メディア間の連携の取り方などを決め、それをシナリオに落とし込みます。これを検証すれば消費行動の想定に無理や不備がないかが見えてくるでしょう。

具体的には高級婦人服の場合なら、婦人服専門誌への広告出稿で認知を獲得し、興味を持ったユーザを販促サイトに誘導して購買意欲を促し、そのユーザを実店舗へ誘導してクロージングに繋げるというシナリオです。

(2)シナリオに沿ったコンテンツを制作する

シナリオ作りが終わったら、それに沿ったメディア別の広告コンテンツを制作します。

例えば先の場合だとユーザの目を釘付けにし、思わず詳しい情報が欲しいと思ってもらうために、1ページのカラー広告出稿が最低必要でしょう。

そうして誘導した販促サイトでは、アピールポイントだけでなくその着心地感、ステータス感などが一読で頭に入る広告コンテンツを用意します。そうすれば実店舗でその商品を試着したくなる行動を獲得できるでしょう。

(3)カスタマージャーニーマッブで顧客行動を分析する

クロスメディアマーケティングにおいては、カスタマージャーニーマッブの活用も有効です。購買客が、

  • どのメディアで自社商品を認知し
  • どんな広告訴求に興味を持ち
  • どんな情報を参考に購入意欲を持ち
  • 何が決定打となって購買に踏み切ったのか

の消費行動を分析・可視化することで購買客の関心事、行動特性、メディアごとの影響度などが明確になり、精度の高いシナリオ作りと広告コンテンツ作り可能になるからです。

まとめ

クロスメディアマーケティングは、複数メディアを組み合わせて初めて成り立つ広告手法であり、見込み客に自社商品の特徴、魅力、ベネフィットなどを詳しく伝達できる広告手法でもあります。

このクロスメディアマーケティングを有効活用するためには、何よりも各メディアのメリット・デメリット、メディアの適切な組み合わせ方などの研究が欠かせないでしょう。