不動産会社の集客が成功しなくなったのはなぜ? 注目されるWeb集客

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不動産業界の集客と言えば、かつては不動産情報誌等への広告出稿、テレアポ、ティッシュ配り、新聞折込みチラシ、ポスティングなどが常識でした。しかし近年、こうしたマス広告と人海戦術に頼る集客では成果を上げるのが困難になっています。そこで現在の不動産業界の集客の主流になりつつあるのが「Web集客」と言われています。

不動産会社の集客が難しくなった理由

かつての方法で不動産会社の集客が難しくなった理由として、次が挙げられます。

1.ユーザ人口の減少

総務省の『人口推計』によると、2019年10月1日の

  • 総人口は1億2617万人。前年比28万人(0.22%)減で、9年連続の減少
  • 不動産会社のメインターゲットとなる15―64歳の生産人口は7507万。前年比38万人減で、総人口に占める割合は59.5%となり過去最低

となっています。

また国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した『日本の将来人口推計』の「総人口の推移 」によれば、「2015年の日本の総人口は1億2709 万人だった。出生中位推計の結果に基づけば、この総人口は以後長期の人口減少過程に入り、2040年の1億1092 万人を経て2053年には1億人を割った9924 万人になる」と推計しています。

人口減少は不動産市場の縮小に繋がります。小さくなった市場で競争が激化しており、いかにして潜在見込み客との接点を作り、その客をいかにして見込み客に引上げ、成約に結びつけるかの営業活動が重要になっています。かつての人海戦術的営業では、潜在見込み客との接点作りが困難になっており、それが集客を難しくしています。

2.ユーザの購買行動の変化

不動産会社がマス広告と人海戦術で集客できていた時代は、消費者は一般に「Attention(商品の認知)―➡Interest(認知した商品への関心)―➡Desire(関心を持った商品の購買欲求)―➡Action(商品購買)」の「AIDA」で説明される購買行動を取っていました。

しかしインターネットが普及した今日、消費者の購買行動は「Attention(商品の認知)―➡Interest(認知した商品への関心)―➡Search(関心を持った商品情報の収集)―➡Action(商品購買)―➡Share(購買満足度の高かった商品情報のネット共有)」の「AISAS」で説明される購買行動に変わってきました。AIDAに比べ消費者の主体的な行動が強まっています。

不動産市場においても物件売買情報や賃貸物件情報は、ユーザがまずインターネットで調べ、候補物件を取り扱っている不動産会社の専門性や実績を調べ、的を絞った会社へ自らアプローチする主体的行動が増加していると言われます。

この変化もマス広告と人海戦術に頼る集客では成果が上がらない要因と言えます。

マス広告や人海戦術より成功率が高い「Web集客」とは

Web集客とはWebサイト、SNSなどのITツールを活用した集客のことです。具体的な集客法として次が挙げられます。

(1)自社Webサイト

今の時代、自社Webサイトは会社の看板です。ネットで社名検索してその会社の公式サイトがヒットしなければ、それだけで「怪しい会社」と見られてしまいます。

(2)リスティング広告

リスティング広告とは、ユーザがネット検索した時に入力したキーワードに対応して表示されるWeb広告のこと。不動産会社の場合は「エリア」、「物件名」などで検索エンジンに広告を出稿すれば、検索エンジンを活用した集客が可能になります。

(3)不動産情報ポータルサイト

不動産情報分野で最もアクセス数が多いと言われる不動産情報ポータルサイトへ、自社取扱いの売買物件や賃貸住宅入居者募集の広告を出稿することで集客が可能になります。

(4)不動産一括査定サイト

不動産一括査定サイトとは、ユーザが売却したい不動産物件情報を入力すると、無料でまとめて複数の不動産会社へ売却額の査定を依頼できるサイトのことです。

集客はサイト運営会社がしてくれるので、成約に繋がる可能性が高い集客法としてはコストパフォーマンが高いと言えそうです。

(5)SNS

若者層から高齢者層までSNSを利用している昨今です。Facebook、Twitter、Instagram、などへの投稿により集客している不動産会社も増加しています。

<h2>集客上手な不動産会社になるには

今の時流に合ったWeb集客と言っても、ただ漫然とやっていては上がる成果も上がりません。成果を上げるには、やはり正しいWeb集客法を知る必要があります。

1.自社Webサイトでの工夫

自社Webサイトで集客成果を上げている不動産会社の多くがブログを活用しています。

ブログには、

  • 物件立地エリアの「お役立ち情報」
  • 物件立地エリアの特徴と住環境情報
  • ユーザに対する自社のアフターフォロー体制

などで構成したコンテンツを掲載し、そのブログでしか知り得ない情報の希少性でリピート読者を獲得、集客に結び付けています。

また、自社サイト内にオウンドメディアを開設し、

  • 自社商圏の物件売買・賃貸物件賃料相場
  • 自分のライフスタイルに合った賃貸物件の選び方
  • 「お宝中古物件」を見極めるコツ
  • 不動産の資産価値毀損を防ぐ方法

などのノウハウ情報公開により、自社取扱い物件の集客に結び付けている不動産会社も少なくありません。

2.リスティング広告での工夫

リスティング広告において、不動産広告は競争が激しい「レッドオーシャン広告」の1つになっています。

単純な「不動産売買」、「賃貸マンション入居」などのキーワード設定では、そのキーワードで大手不動産情報ポータルサイトがリスティング広告出稿をしているので、集客効果はほぼ望めません。

そんな中でリスティング広告による集客効果を上げている不動産会社は、

  • 物件名×エリア
  • 物件名×エリア×駅チカ
  • 沿線名×物件名×エリア内ストック物件の特性(高級住宅が多い、ファミリー向け住宅が多いなど)

などのターゲットを絞り込んだキーワード設定を工夫しています。

自社商圏の不動産関連情報に詳しい地場不動産会社ならではの工夫と言えるでしょう。

3.不動産情報ポータルサイトでの工夫

不動産情報ポータルサイトでの集客も競争が激しい「ブルーオーシャンサイト」などで、集客には差別化が不可欠になります。

そこで、

  • 物件の見栄えを良くすると同時にそのリアル感を高めるため、物件の外観と内部を高性能カメラで撮影する
  • 物件に対する親近感を高めるため、近隣の生活関連施設と利便性、最寄り駅から物件までの道程の状況を写真付きで解説

などの工夫をしている不動産会社が集客の成果を上げています。

4.不動産一括査定サイトでの工夫

不動産一括査定サイトは集客をサイト運営会社がしてくれますが、その後は数社競合になります。競合に打ち勝って成約を獲得するためには、他社よりいかに早く納得度の高い査定額を提示するか、ユーザにいかに信頼されるかなどが重要になります。

同サイトでの成約率の高い不動産会社は、そうした営業活動をするために様々な知恵と工夫を凝らしています。

5.SNSでの工夫

SNSでの集客においては、成功している不動産会社の多くがSNSでセミナー告知をしてユーザを自社Webサイトへ誘導し、セミナー参加申込を獲得すると共にそのユーザ属性を取得し、見込み客を発掘する仕組みで集客の成果を高めています。

またこの仕組みに加え、セミナー参加者への定期的なメルマガ配信により潜在見込み客を顕在見込み客に浮上させ、成約に結びつけるリードナーチャリングにも積極的に取り組んでいます。

Web集客を成功させるコツ

競争が激しい不動産市場でWeb集客の成果を上げるためには、ユーザ特性に適したWeb集客ツールの使い分けも重要です。ユーザ特性とWeb集客ツールには、一般に次の接点があると言われています。

ユーザ特性   Web集客ツールの接点                     

非認知層…………検索エンジンのバナー広告、動画サイトの動画広告など

潜在ニーズ層……SNS広告、ディスプレイ広告など

顕在ニーズ層……自社Webサイト、不動産情報ポータルサイト、リスティング広告など

見込み客層………メルマガ、ニュースレター・ニュースリリースなどの配信

このユーザ特性とWeb集客ツールの接点をいかに確実に作り上げ、いかに着実に運営するかが、Web集客の成否を分けるとも言えるでしょう。

まとめ

人口減少、ユーザの購買行動の変化など、いわゆる「インターネット時代」突入以降、不動産会社の経営環境は激変しています。自社の強みを見つけて自社商圏内の他社との差別化を図り、その成果をいかにしてWeb集客に結びけるか。

それが今やレッドオーシャンと化した不動産市場で自社が勝ち残る道と言えるでしょう。