混同しやすいPPC広告とリスティング広告、PPC広告の上手な使い方

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広告関係者の間で、Web広告の効果でよく話題になるのがPPC広告とリスティング広告。「どちらも同じWeb広告だから」と話題は比較に走りがちです。しかし本質的に異なる広告手法なので、議論が噛み合わないことが多いようです。ここではPPC広告とリスティング広告の本質的な違いと、PPC広告の上手な使い方を解説します。

PPC広告とリスティング広告の本質的な違いとは

PPCとは「Pay Per Click」の略語で、広告がクリックされた時にのみ広告料が発生する課金方式を指す用語で、「クリック課金型広告」とも呼ばれます。

PPC広告とリスティング広告は「どちらも同じWeb広告」と十把一絡げに解釈されがちなのは、リスティング広告が何種類かあるPPC広告の一種だからです。

ですから「リスティング広告=PPC広告」と解釈するのはそれほど大きな間違いではありませんが、「PPC広告=リスティング広告」の解釈は間違いになります。これが噛み合わない議論の原因と言えます。

PPC広告の種類

PPC広告には、リスティング広告以外に次の種類があります。

■ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、Webサイトのサイドバー、Web記事の記事中・記事下、アプリの広告枠などに画像・動画・テキストを表示する広告です。バナー広告もディスプレイ広告の一種です。アドネットワーク(複数の広告媒体を集めたネットワーク)を通じ、複数のWeb媒体に配信されるケースもあります。

■SNS広告

SNS広告はFacebook広告、Instagram広告、Twitter広告などの総称で、課金方式としてクリック課金の他にインプレッション課金、エンゲージメント課金(いいね! シェア、コメントなどのアクションに対する課金)などがあります。したがってPPC広告の範疇に入るSNS広告は、クリック課金採用の広告になります。

PPC広告の仕組み

PPC広告の広告料は、媒体側が設定した広告料を支払う定額制ではなく、広告主が設定した広告料を広告主同士が入札で競う入札制です。具体的には次の仕組みで広告料が決まります。

(1)入札で決まる広告掲載位置

PPC広告の掲載位置は入札で決まります。

このため、例えば同じ掲載位置に複数の広告主が入札した場合、入札額が競争相手より安いと広告掲載位置が競争相手より低い位置に表示され、ユーザのクリック率が下がり、広告出稿効果が低くなる可能性があります。

逆の場合は入札額が高くなるので、広告の費用対効果が悪化することもあります。

(2)入札額には広告ランクと品質スコアが加味される

PPC広告の入札額は「広告ランク」と「品質スコア」で決まります。

広告ランクは「入札額 × 品質スコア」の算式で算出されます。

広告ランクの入札額はクリック課金と連動しており、自社広告が1クリックされた際の広告単価が最低入札額になります。入札額には上限がないので、広告主は最低入札額以上なら任意の額を設定できます。

品質スコアは広告の品質を、

  • 推定クリック率(広告が表示された時にクリックされる可能性)
  • キーワードと広告の関連性
  • ランディングページの利便性

の3項目で総合的に評価するもので、ランディングページの利便性は10段階評価になっています。

PPC広告のメリット・デメリット

PPC広告には、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

<メリット>

(1)広告訴求力がある

PPC広告のメリットは、費用対効果が高いことと言えるでしょう。

PPC広告はクリック課金型なので、ユーザが広告をクリックしない限り広告料は発生しません。

また、PPC広告ではユーザが自らクリックすると言う能動的行動をするので、広告に対してある程度興味や関心を持っているユーザが広告を見ることになります。必然的にコンバージョン率も高くなります。コンバージョン獲得に至らない場合でも、自社商品の訴求だけは可能になるでしょう。

(2)広告出稿後の修正作業が容易

PPC広告はWeb広告なので、広告出稿後に不具合の発見、追加・変更の必要などが生じた場合、パソコンのオンライン操作環境さえあれば、どこでも不具合の修正や追加・変更ができます。

(3)広告の効果測定が容易

PPC広告の場合、広告の表示回数と広告のクリック回数である程度の広告効果測定ができます。

簡単に説明すると、「広告のクリック回数 ÷ 広告の表示回数」で広告のクリック率を算出します。このクリック率と品質スコアの推定クリック率の差を測ると、広告料に見合ったパフォーマンスを発揮しているのか否かの費用対効果が把握できます。

クリック率と推定クリック率の差が小さい、あるいはクリック率が推定クリック率を上回っている場合は、費用対効果が高いと判断できます。

<デメリット>

(1)クリック単価が上昇傾向にあり、費用対効果が悪い場合もある

PPC広告は初期費用が安いため、近年はテレビ・新聞・雑誌への広告出稿をPPC広告へ切り替える広告主が増加しています。このため入札競争が激しくなり、クリック単価が上昇傾向にあります。したがって、高い単価に対してクリック率が低い場合、費用対効果が悪くなる場合もあります。

PPC広告出稿においては、広告出稿管理ルール作成や、広告をクリックしたユーザを直帰させないキャッチーなランディングページ制作が重要と言えます。

(2)広告サイズが制限されている

PPC広告には、広告のサイズや表現に制限があります。その理由はユーザが広告を見る時のデバイスにあります。

ユーザがPPC広告を見るデバイスはその時々の状況により変わります。例えばビジネスパーソンの場合、電車やバスで移動中はスマートフォン、カフェやビルのエントランスホールで時間調整している時はタブレットで、職場の自席や自宅ではパソコンと言った具合です。

こうしたユーザのデバイスの使い方に対して、Webサイトのユーザインターフェースはパソコン画面に最適化されています。そこでPPC広告ではユーザがスマートフォンやタブレットで広告を見る場合、ユーザインターフェースが極端に悪くならないよう広告サイズを制限しています。それに伴って広告表現も制約されます。

PPC広告の上手な使い方

PPC広告の費用対効果を高めるためには、やはりこの広告を上手に使いこなす必要があります。その方法として次が挙げられます。

(1)自社商品のターゲットユーザが多い媒体を選ぶ

PPC広告の媒体も、

  • Google……若年層とビジネスパーソンが多い
  • Yahoo!……高齢者層と専業主婦層が多い
  • Twitter……10代から50代まで年代層が幅広い
  • Instagram…若年層と女性が多い

などのユーザ特性があります。そこで広告を出稿する場合は自社商品のターゲットユーザが多い媒体を選ぶ必要があります。

例えばスマートフォン向けのゲームアプリ商材なら若年層が多いGoogleとInstagram 、女性向け商材ならYahoo!とInstagramと言った具合です。

(2)効果的なキーワード選定と無駄な費用となる除外キーワードの設定

ターゲットユーザの検索目的を想定し、コンバージョン獲得に繋がりやすいキーワードを選定する必要があります。

但し選定したキーワードが人気の高いビッグキーワードだった場合、入札でクリック単価が高騰します。その時はニッチキーワード、ミドルワード、スモールワードなどに変更すれば、クリック単価を下げられます。

また広告を表示させたくないキーワードを「除外キーワード」に設定すれば、無駄なクリック課金を減らせます。

(3)見込み客だけがクリックしたくなる広告文の作成

ターゲット以外のユーザが興味本位でクリックして直帰する。そんな無駄なクリック課金を発生させないよう、見込み客が思わずクリックしたくなるような広告文を工夫する必要があります。

そのためには自社商品のメリットや価値を具体的に、かつ簡潔にアピールできる広告文が重要です。訴求ポイントがよく分からない冗長な広告文は、1行目を読んだだけで見込み客にスルーされてしまいます。

まとめ

PPC広告はクリックされるまで広告料が発生しない無駄の少ない広告ですが、人気の高まりと共に入札競争が激化し、クリック単価が上昇傾向にあります。入札額を抑制しながら広告の成果を上げるには、品質スコアを高めて広告ランクを上げる必要があります。

広告ランクが高いと同じ広告・キーワードでも安い入札額での広告掲載が可能になります。広告もまた見込み客への有益な情報の提供手段です。広告文とランディングページを改善すれば広告を接点とする見込み客数が増加し、PPC広告の費用対効果がさらに高まるでしょう。