マーケティングファネルの基礎から活用法について

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マーケティングに係る用語で「ファネル」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。より良い商品をより多くの人に伝えるために、「ファネル」を意識することで効果的な戦略につながります。
ここではマーケチングファネルの基礎からその運用法までできるだけ詳しく解説していきます。あなたのビジネス戦略に少しでも役立つように紹介していきたいと思います。

マーケティングファネルとは

ファネルとは漏斗(ろうと)のこと

マーケティングファネルのファネルとは日本語では漏斗(ろうと)のことです。液体を口径の大きな容器から小さな容器に移すときに使うあの逆三角形の器具。みなさんも小学校の理科実験で使ったことがあると思います。
マーケティングにおけるこの逆三角形は消費者の意識が商品の購入に向かうまでの心理的過程や行動をモデル化したものです。
消費者が商品を見つけ購入に至る過程を「認知→興味・関心→比較・検討→購入・申し込み」 という過程でとらえたものです。
これに具体的な数値を入れてみます。最初の認知者が100名→興味・関心を示したものが70名→比較・検討したものが30名→購入・申し込みまでいたったのは5名だったとします。ちょうど漏斗の逆三角形型になるのが購入者の一般的な消費動向なのです。
マーケティングファネルを使って購入者をいかに増やすかを考える場合次のような分析が可能になるでしょう。最初の認知をどこまで増やすか、または途中の過程でいかに減少を抑えるか、などです。
商品の購買動向に購入者の購入心理をファネル化して分析することでビジネス戦略を可視化するのがマーケティングファネルの基本なのです。

バーチェスファネル

パーチェス(purchase)とは購入・購買を意味します。上記の逆三角形が基本的なパーチェスファネルです。
このファネルをもう少し踏み込んで解説してみます。
書店で店頭に並んだ本を例にとります。ベストセラーの隣に並ぶ新刊本は店頭では目立つ位置にあります。一日に1000人の来店者のあるこの店では必ず目にすることになるでしょう。
しかし、新刊本ですので初めて目にします。どんな本なのかわかりません。なんとなく通り過ぎてしまう人が多いです。その中で、この本が今話題の事件を扱っていることに気が付く人は700人ほどいました。
現在話題での問題であることに気が付いた人の中で、気になって立ち止まり、その本を手に取った人は300人ほどいました。表紙を確認して、目次を見る。値段や本の印象を確認する。結局購入者は50人でした。
結局1000人に認知されながら各段階で下のフェーズに行かず脱落した人たちは950人でした。この脱落した950人をどう購入に結びつければいいのか?考えてみましょうか?
新刊本は店頭にありますので認知に関しては問題ないのかもしれません。しかし。今のベストセラーの脇に並べているだけなので、どうしても購入者の興味・関心を喚起するまでになっていません。「この本は面白い」ということを印象づけるためにベストセラーを押しのけて前面に並べてみます。すると新刊分を手に取る人の数も400人に増えました。購入者も70人になりました。
このように分析と戦略を繰り返すことで効果を検討することになります。

インフルエンスファネル

インフルエンス(Influence)とは「感化・影響」という意味です。パーチェスファネルが消費者が購入までの動向を図式化したものであるのに対し、インフルエンスファネルは購入後の行動をファネル化したものです。

購入後の購入者の行動には「継続→紹介→発信」というフェーズがあります。商品を気に入り、商品のいいところを周囲に話すのは消費心理として当然です。その満足感が共有され、多くの購入者に広がっていく所謂「口コミ」は購入者心理の根底にあります。購入後、購入者が自ら広告塔になって商品を紹介するのはかなり以前から一般的でした。これがインフルエンスファネルの一般的な形です。
昨今はインタネットやSNSの発達によりサービスのレビューなどが多く集まります。さらに、購入者個人の発信力も高まってきました。時には企業の広告よりも大きな影響力を持つようになっています。
購入者にどのようなイメージを持ってもらいたいか、周りの人にどのように紹介してもらえるかというのは以前にもまして注目されるようになっているのです。
どのような点に共感してもらえるのか。そしてその共感をどのように発信してもらえるのか。そのような視点がますます重要になってきています。

ダブルファネル

ダブルファネルは紹介したパーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデルです。購入者の購入までの心理と購入後の感想から紹介して情報発信をするまでの行為を総合的に分析することでより大きな効果を生み出そうとしています。
一連の購入行動の心理を分析することで先々の購入行動を分析し、次のビジネス戦略を構築するためのモデルとするのです。

ファネル分析にMAを導入

ファネル分析を行うにはMA(マーケッティングオートメーション)を導入するケースが多いです。分析や戦略を自動化することで効率的で的確な分析が可能になります。主に以下の3つの方法がありますのでご紹介いたしあ

顧客情報の収集・蓄積

顧客の属性や行動などを一元的に管理することでセグメントが容易になります。適切なタイミングで顧客にアプローチすることも可能です。

見込み客の育成

見込み客との商談や購買履歴、オンライン、オフラインでの交流で長期的な信頼関係を構築します。

マーケティング施策の分析

マーケティング活動の中で売り上げに効果のある部分はどこか、どれほどの投資効果があるのかなどを可視化して次の施策に生かします。
ファネル分析を行う場合、それぞれの過程で具体的な数値を当てはめて正しいデータを導き出すことが重要です。このデータの分析にMAによって数値の収集を行います。また、顧客情報についての適切なアプローチを自動化して、ファネル分析を容易にすることも可能です。
MAを提供している会社によって様々な場面での対応が可能です。

マーケティングファネルの限界

マーケティングファネルは古い?

元々マーケティングファネルには購買行動、購買心理の「一直線型の購買モデル」、「顧客行動の最大公約数」的な分析モデルでした。単純化することでわかりやすくするということは意味がありました。
しかし、現実の消費行動はきわめて多様で、必ずしも画一化されているわけではないとも言われます。近年は一層購買行動、購買心理は複雑で多様化しています。そのため、様々な修正が行われています。

例えば、家電製品などです。家電製品は多種で多様化しています。それぞれのライフスタイルの変化により、性能やサイズ、デザインやカラー、もちろん価格も重要ですが、商品の購買動機も多様化しています。このため、マーケティングファネルで設定する、購買動機を絞り込むというというやり方はあまり効果を生まなくなっています。購買属性を単一にするということも同じように意味合いが薄くなっています。

購買経路の多様化

以前は購入経路も小売店や量販店が一般的でした。しかし、現在は通信販売だけではなく、ネットショッピングやネットフリマなどインターネットを通じた購入も増えました。今までのような購買ルートを中心にした分析では購入者の実態もはっきり掴めないのではというのです。

脱落顧客への視点を見落としがち

ファネル分析の基本は購入者がどれだけ残るかという視点でした。これからの厳しいマーケティング戦略では脱落していくことを前提にした分析をするということも問題ではないかというのです。
そのためファネル分析にSNSのアカウントやメールアドレスなどの情報を用いたフォローの体勢を組み込んで、脱落顧客のになになにを施すか?という視点も提示されています。中でもリストを作って一方的に接触機会を作れるメルマガなどは効果があるのではといわれています。

今後のマーケティングファネル

フライホイール型

マーケティングファネルの分析には今後はより細分化したファネルを用意する必要が指摘されています。細分化したファネルとは購入者に対して個別で、それぞれの価値観に合わせた独自的なものになっています。顧客の価値観が多様化したからこそニッチなジャンルに特化したサービスも増えているのです。
そんな中で、「フライフォール型」といわれるモデルが提示されています。

顧客は結果としての購買ではなく、顧客を中心とした「信頼関係の構築」「顧客満足度向上」「認知」の3つの要素が滞りなく回ることが顧客の購買の重要な要素であるという分析です。
このモデルによりますと、ファネル分析のように、「いかに失客を減らすか」から、「獲得した顧客のエネルギーをいかに絶やさずマーケティングに用いるか」という視点に変わることになります。

まとめ

マーケティングファネルの分析は購買行動の多様化で時代遅れともみられがちです。しかし、自社の根幹となるファネルを作っておくことで「ユーザーがどのファネルにいるのか」「どうアプローチするべきなのか」という基本的な指標を作ることができます。
この指標はマーケッティングを維持するうえでの重要なモチュベーションになります。また、購買までの基本的なパターンを把握することは売り上げが伸びないときの問題点を素早く洗い出すときの対策にもなります。
マーケティングファネルの分析は必ずしも不要な分析ではないのです。