ミレニアル世代とZ世代、注目される価値観と消費行動

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人は幼少期から青年期の間に受けた社会的影響により、その後の価値観や消費行動が決まると言われています。このため現在のマーケティングにおいては、消費者を性別、年齢、職業などの属性によるグルーピングより、世代別のグルーピングが適しているケースがあります。特に ミレニアル世代とZ世代に対するマーケティングにおいては、両世代の価値観と消費行動を知ることが重要と言われています。ここでは両世代の価値観と消費行動の違い、両世代に対するマーケティングのポイントを解説します。

ミレニアル世代とZ世代とは

ミレニアル世代とZ世代とは、米国人を対象にした米国のマーケティング概念です。両世代にはそれぞれ、次の特徴があると言われています。

ミレニアル世代の特徴

ミレニアル世代は一般に1980年から1995年の15年間に生まれた世代とされています。2021年現在、26歳から41歳の年齢層です。
IT革命とその後のIT普及期に育った彼らは「デジタルパイオニア」とも呼ばれ、情報リテラシーが高く、インターネットでの情報検索やSNSを利用したコミュニケーションに長けている世代です。
2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件や2003年に勃発したイラク戦争の社会的影響を青少年期に受けた人が多く、一般に社会問題への関心が強いと言われています。

Z世代の特徴

Z世代は一般に1996年から2015年の19年間に生まれた世代とされています。2021年現在、6歳から25歳の年齢層です。
彼らはIT環境が生活レベルにまで普及した時代に生またことから「デジタルネイティブ」とも呼ばれます。IT機器やIT関連サービスを難なく使いこなし、パソコンとモバイルデバイス(スマーフォンやタブレット)のアプリケーションに精通し、情報リテラシーに加えネットリテラシーも高い世代です。
アメリカ同時多発テロ事件に続く国際テロ事件の多発、学校での銃撃事件多発、リーマンショックによる失業率上昇など政治的にも経済的にも米国が揺れ動いた社会的影響を青少年期に受けた人が多く、一般に考え方が現実的で実用性を重視する傾向が強いと言われています。

ミレニアル世代とZ世代、価値観と消費行動の違い

ミレニアル世代とZ世代の間には、一般に次の価値観と消費行動の違いが見られると言われています。

ミレニアル世代の価値観と消費行動

ミレニアル世代の基本的な価値観として次が挙げられます。

(1)共感を求める

ミレニアル世代は共感を求める傾向が強く、SNSで自分に関する情報を積極的に発信する人が多いと言われます。また金銭よりも信頼に価値を感じる人が多く、「周りに共感されている数が信頼の証」との考え方から、SNSのフォロワー数を気にする人が多いようです。

(2)コト消費を好む

ミレニアル世代は「コト消費」を好む傾向が強く、高級乗用車を所有し、ブランド品を身に着けるなどのライフスタイルに価値を感じない人が多いと言われます。このためカーシェアリングやシェアハウスのような「体験型サービス」を好んで利用すると言われます。

(3)働き方にこだわる

ミレニアル世代は新卒入社の会社で定年まで働き、その間に社内昇進を目指す「社内キャリアパス」を好まないと言われます。自分らしい働き方や活躍できる場を求めて転職する、フリーランスとして独立する、自分が開発した商品を売るために起業するなどのキャリアパスを目指す人が多いと言われます。

上記の価値観を持つミレニアル世代の消費行動の特徴として、次が挙げられます。

  • 有名ブランドに魅力を感じない……ミレニアル世代は「それを持つことがステータス」と言われるような画一的な考え方に同調しないので、有名ブランドに魅力を感じない
  • コト消費に出費を惜しまない……ミレニアル世代は共感を求める傾向が強いので、体験を共有できるコト消費に出費を惜しまない
  • 高額商品に興味がない……ミレニアル世代のモノ消費の判断基準は「リーズナブルな価格で有用性があるか」。いくら高性能で利便性が良くても、それが高額なら購買意欲が湧かない

Z世代の価値観と消費行動

Z世代の基本的な価値観として次が挙げられます。

(1)多様な価値観を受け入れる

Z世代は子供の頃からSNSに慣れ親しんできました。このためSNSを通じて社会問題に触れる機会が多く、友達同士での意見交換も活発です。そんな生活習慣があるので多様な価値観を受け入れる傾向が強いと言われます。

(2)現実的かつ個性的な人生を求める

Z世代は幸福、理想、などの観念的な人生に対する関心は低く、現実的かつ個性的な人生を求める傾向が強いと言われます。
このため周りと同一視されることを嫌い、商品でもみんなが好む有名ブランド品より個性的な商品を好む人が多いようです。

(3)商品購買の判断基準は「必要か不要か」

ミレニアル世代よりシビアな経済環境の中で育ったZ世代は節約や貯蓄への関心が強く、堅実な生活志向を持っている人が多いと言われます。
このため商品を購買する際は、その商品が自分の生活にとって必要か不要かをまず考える傾向が強いと言われます。

上記の価値観を持つZ世代の消費行動の特徴として、次が挙げられます。

  • ブランドは購買の動機にならない……Z世代は商品に品質とベネフィットを求めるので、ブランド自体は購買の動機にならない
  • 欲しいものしか購買しない……Z世代は消費に対する固定観念もないので、「自分が欲しいもの」しか購買しない
  • 広告に踊らされない……「リーズナブルな価格で高品質」な商品を求めているZ世代は、例えば「飲むだけで○○になる」、「必ず○○になる」などエビデンスのない広告には見向きもしない

ミレニアル世代とZ世代のマーケティング、それぞれのポイント

ミレニアル世代とZ世代の価値観と消費行動は画然と区別できるものではなく、共通している部分が多く錯綜もしています。このため米国のマーケターは成果を上げるのに苦慮したと言われます。しかし現在ではその経験則から、次のマーケティング活動がポイントと見られています。

ミレニアル世代のマーケティングのポイント

ミレニアル世代の価値観と消費行動を踏まえたマーケティング活動を展開するためには、次の2点に留意する必要があります。

(1)情報発信媒体としてSNSを駆使する

共感を求める傾向が強い同世代に対しては、SNSを介した積極的な情報提供が有効と見られています。そしてSNSで発信する情報は、「同世代のライフスタイルや働き方に共感し、その役に立ちたいとの思いがこもった情報」が重要と見られています。

(2)経験型マーケティングが重要

コト消費を好む同世代に対しては、消費行動を通じて楽しさや新しい発見が得られる経験型マーケティングが重要と言われています。同世代に対するこのマーケティング成功の一例として、「サードプレイス(第三の場所)」をコンセプトにしたスターバックスの「くつろぎカフェビジネス」が挙げられるでしょう。

Z世代のマーケティングのポイント

Z世代の価値観と消費行動を踏まえたマーケティング活動を展開するためには、次の2点に留意する必要があります。

(1)訴求すべきは実用性、経済性、本物志向

「自分が欲しいものしか購買しない」同世代に対しては、ラグジュアリー、希少価値、ブランドなどの訴求はあまり効果がありません。同世代が反応するのは実用性、経済性、流行に流されない本物志向など訴求と言われています。

(2)リアル提示型マーケティングが重要

現実的な人生を歩む同世代に対しては、商品の所有価値やステータスを訴求する理想提示型マーケティングよりも、商品のベネフィットなど現実の生活や人生の豊かさを訴求するリアル提示型マーケティングの方が重要と言われています。

まとめ

米国のミレニアル世代・Z世代との年代が近いのが日本の「ロスジェネ世代」と「ゆとり世代」です。とは言えミレニアル・Z世代とロスジェネ・ゆとり世代は、文化や社会的背景が異なります。したがってミレニアル・Z世代に対するマーケティング概念と手法は日本のロスジェネ・ゆとり世代に対するマーケティングの参考にはなっても、そのまま応用できないと言われています。
米国と同じく日本でもロスジェネ世代はすでに消費の主役になっており、ゆとり世代も消費の主役になりつつあります。このため両世代の価値観と消費行動に対する日本独自の本格的なマーケティング研究が期待されています。

参照資料

●ミレニアル世代とZ世代―その違いとは
 https://www.salesforce.com/jp/blog/2019/12/
●「ミレニアル世代」と「Z世代」は何が違う
 https://www.pasonacareer.jp/hatalabo/entry/2020/07/22
●ミレニアル世代の特徴は
 https://news.mynavi.jp/article/20210518-1880628/
●ミレニアル世代とは
 https://mynavi-agent.jp/womanwill/gwl/column/7748/
●Z世代とは
 https://marketx.co.jp/magz/generation-z/
●Z世代の特徴と消費観とは
 https://collatech.co.jp/ifm-lab/uncategorized/1804#Z-4
●Z世代とは
 https://www.kaonavi.jp/dictionary/z_sedai/