営業社員が知っておきたいメルマガ開封率を上げる方法

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今やインバウンドセールスにおける販促活動の主力ツールと言われるメルマガは、どんな魅力的なコンテンツを配信しても、配信先で開封してもらわなければ用を為しません。このメルマガ開封率が意外に低く、インバウンドセールスにおける販促効果の低さが関係者の悩みの種になっています。どうすればメルマガ開封率を上げられるでしょうか。

メルマガ開封率の実情

「メルマガ開封率」とは、配信したメルマガが配信先で開封された割合のこと。配信したメルマガがユーザに開封されない限りリンククリックやコンバージョンを獲得できないので、開封率は販促活動の重要な指標になります。

開封率は「(開封数÷メルマガ配信数)×100=%」の計算式で算出します。

例えばメルマガ配信数(到達数)が2万件、開封数が2500件なら開封率は12.5%となります。

メルマガ配信の目的とその情報はユーザ層により異なります。主な違いは次になります。

<非認知ユーザ層>

  • 目的……………………自社が取り扱っている商品ジャンルそのものに興味・関心を持ってもらう
  • メルマガの情報………商品ジャンルに関する話題、トレンドなど

<潜在ユーザ層(見込み客)>

  • 目的……………………自社が取り扱っている商品ジャンルの購買意欲を刺激し、購買意欲を持ったら真っ先に自社商品をイメージしてもらう
  • メルマガの情報………商品ジャンルに関する利便性、価値、コストパフォーマンなど

<顕在ユーザ層>

  • 目的……………………自社商品の購買意欲を持っているユーザに購買行動を促進し、購買体験をしてもらう
  • メルマガの情報………競合商品に対する自社商品の優秀性(安全性、商品スペック、独自性、自社商品ならではの利便性など)

<固定ユーザ層(購買履歴2回以上の客)>

  • 目的……………………自社との関係性を強め、自社商品へのロイヤルティを高めてもらう
  • メルマガの情報………ユーザの共感を得られる自社商品の使用事例・社会貢献活動、ユーザの知識欲を刺激する自社商品関連ノウハウ、新商品案内など

では、このようなメルマガは実際、どの程度開封されているのでしょうか。

グローバルなメール配信システムベンダのBenchmark Emailが発表した「業種別・地域別(国別)メルマガ平均開封率・クリック率・エラー率レポート(2020年5月現在)」によると、メルマガの平均開封率は次のようになっています。

<主要業種別>

  • 建設業…………………22.1%
  • 製造・物流業…………16.5%
  • 小売・サービス業……17.6%
  • 金融……………………22.4%
  • 保険業…………………20.0%
  • 観光・娯楽業…………24.6%

<主要国別>

  • 日本……………………35.6%
  • アメリカ・カナダ……24.4%
  • イギリス………………24.9%
  • ドイツ…………………34.7%
  • フランス………………33.7%
  • イタリア………………31.1%

メルマガのKPIとその測定法

メルマガの開封率は販促活動の重要な指標ですが、それ自体を競合他社と比較しても意味がありません。重要なのはメルマガ配信のKPI(重要業績評価指標)測定です。

メルマガのKPI測定は先に述べた開封率の他、次の2つが指標になります。

●クリック率

メルマガのクリック率は、配信先で開封されたメルマガに記載したリンククリックの割合を指します。クリック率は「(クリックしたリンク数÷メルマガ配信数)×100=%」の計算式で算出します。

●コンバージョン率

メルマガのコンバージョン率は、配信先で開封されたメルマガにより獲得した商品購買、資料請求など、メルマガの配信目的を達成したコンバージョン数です。コンバージョン率は「(コンバージョン数÷メルマガ配信数)×100=%」の計算式で算出します。

このKPIは「発信したメルマガがエラーにならず開封――➡メルマガ内のリンククリック――➡購買・資料請求等のコンバージョン獲得」の流れにおいて測定されます。

なおKPIを測定できるのはHTML形式のメルマガだけです。テキスト形式は対象外になります。

メルマガのKPIは、次のツールで測定します。

●アクセス解析ツール

グーグルが無料提供しているアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」による測定です。

同ツールでメルマガ開封数・リンククリック数・コンバージョン数などをチェックし、それを基にKPIの各指標を算出します。

●メルマガ配信システム

「メール配信システム(メール配信ソフトウェアツール)」を活用してメルマガを配信すると、KPIの各指標を自動的に測定できます。一覧画面で各指標が表示されるツールが多く、アクセス解析ツールより測定が簡単です。

●MA

マーケティングツールの「MA(マーケティングオートメーション)」を活用してメルマガを配信した場合も、KPIの各指標を自動的に測定できます。

さらにMAの場合は、ユーザ個別のコンテンツアクセス履歴や購買履歴がデータベース化されているので、KPIの各指標とウエブサイトの閲覧履歴を紐づけ、自社商品に対するユーザ個別の関心度や購買見込み度を可視化できます。このためメルマガの販促効果を高められる可能性があります。

メルマガの開封率を上げる方法

メルマガの開封率を上げる方法として、一般に次が挙げられます。

(1)メルマガ配信リストを定期的にチェックする

メルマガの開封率が上昇しない要因の1つが、様々な経路から獲得したユーザのメールアドレスをそのまま配信先にしていることだと言われます。

ところが近年は、迷惑メール着信を遮断するため、メールアドレスを定期的に変更するユーザが増えています。またメルマガ配信登録を解除せず、メルマガを迷惑メールに設定しているユーザも少なくありません。このためメルマガ配信リストにはプロバイダのメール受信サーバにより弾かれた「エラーメール」が一定割合で混じっています。

このエラーメールを配信し続けていると、メルマガを配信している企業がプロバイダのメール管理者に「迷惑メール配信者」と誤判定され、その企業が発信したメールはすべて弾かれる可能性があります。

このリスクを避けるため、メルマガ配信リストは定期的にチェックし、エラー率を下げる必要があります。

(2) ユーザが「読みたい!」と思う件名を付ける

ユーザの大半は、配信されたメルマガの件名から自分に有益な情報か否かを判断します。したがってユーザに「読みたい!」と思わせる件名付けが重要です。

そのためには、

  • ユーザにとって価値のある情報が、
  • 具体的に記されている

の2要件を満たす必要があります。

(3)差出人名を明確にする

メルマガ配信における差出人名は、企業の看板と同じでメールの信用性を左右します。誰が発信したメールなのかをユーザが一目で分かるよう、差出人は企業名または担当者名にするのが鉄則と言われています。

よくある「差出人:info@xxxxx.co.jp」は発信者をすぐ特定できないので、迷惑メールと見做される可能性があります。

(4)ターゲットに合わせて配信のタイミングを変える

メルマガの開封率を上げる上において、ターゲットに合わせてメルマガ配信のタイミングを変えることも重要です。ユーザの属性よりメールチェックをする時間帯が異なります。

例えば、

  • ビジネスパーソン…始業前後の8-10時、昼食後の13-14時、終業前後の17-18時
  • 専業主婦……………平日の昼から夕方までの時間帯

と言った具合です。

(5)A/Bテストで件名付けや配信時間帯を検証する

A/Bテストでメルマガの件名付けや配信時間帯の検証を行い、その結果に基づき本配信をするのも開封率上昇に効果があると言われています。

A/Bテストとは、ウエブマーケティングにおけるユーザ訴求効果測定テストのこと。簡単に言うと、情報の中身は同じながらデザインが異なる複数のコンテンツをサイトで公開し、一定期間内におけるクリック率の違いを集計し、クリック率の高いデザインを本デザインに決定する仕組みです。

このテストはメルマガ配信にも応用できます。例えば、メルマガ配信の件名付けテストを行う場合は、少数のテストセグメントを抽出し、そのセグメントに複数パターンの件名で配信します。その結果、開封率が高かった件名を本配信の件名にする仕組みです。

まとめ

メルマガは正しく活用すれば、インバウンドセールスの効果的な販促ツールになります。しかもダイレクトメールと比べると段違いに低コストです。したがって販促担当者は「たかがメルマガ」と安易に考えず、「どうすればメルマガの開封率を上げられるのか」を真剣に追求する必要があるでしょう。

そのためにもまずは自社のメルマガ配信のKPI測定により現状を把握・分析し、「開封されない理由」を突き止める必要があります。